減便していいのですか #山田線実証実験中ですが

快速「リアス」号です。 東北地区

 現在、JR山田線では、岩手県北バスの路線「106急行バス」「106特急バス」を使って利便性向上のための実証実験を行っています。ところが、2025年3月15日のダイヤ改正で山田線の減便が発表されました。これにより、利便性がどう変わるのでしょうか。

実証実験の内容は、岩手交通のホームページをご覧ください。

盛岡⇔宮古(106特急・急行バス) | 岩手県北バス(公式サイト)路線バス・高速バス・貸切バスの情報

岩手県北バスホームページ

それぞれの路線について

JR山田線(盛岡ー宮古)

 JR山田線は、1935年(昭和10年)に盛岡ー釜石間の全線が開業した路線です。岩手県盛岡駅から岩泉線と接続していた茂市駅、交通の要衝である宮古駅を通り釜石駅までを結ぶ路線です。帝国議会で当時の原首相が「鉄道規則を読んでいただければわかりますが、猿は乗せないことになっております」という発言がよく知られています。

 2011年(平成23年)3月11日の東日本大震災において、太平洋岸を通る宮古駅ー釜石駅の区間が大ダメージを受け不通となってしまいました。BRT化などの話はありましたが、最終的にはJR東日本が路線の復旧を行い三陸鉄道に運行を移管することで復活を果たしました。JR山田線の名前の由来は、三陸鉄道に移管した区間にある陸中山田駅に由来したものです。これによりJR山田線は、山田駅を通らない路線になってしましました。

山田線の主なデータは次の通りです。

  • 路線距離 102.1キロメートル(釜石駅までは157.5キロメートル)
  • 駅数 18(釜石駅までは30)
  • 列車本数 4往復(内下り2本と上り1本は快速「リアス号」・区間列車があります。) 
  • 所要時間 快速:約2時間20分、普通:約2時間30分
  • 運賃 1,980円
  • 輸送密度 87(2023年) 盛岡ー上米内が227、上米内ー宮古が71 (2005年(平成17年)は、盛岡ー釜石間で455)
  • 軌間 1,067ミリメートル(狭軌)
  • 単線・非電化
  • 最高速度 時速85キロメートル

となっています。

「106急行バス」「106特急バス」

 1978年(昭和53年)から運行されているバスで主に名前の由来は国道106号線を走行することから来ています。現在は、JR山田線乗車券での106特急・急行バス乗降が乗降できます(「青春18きっぷ」などの使えないきっぷもあります。)期間は、2025年3月31日までですが2030年度まで5年間の延長となる予定です。所与時間は「106急行」が2時間15分、「106特急」が1時間40分です。本数は、「106急行」が5往復「106特急」が7往復設定されています。なお、2016年(平成28年)には、20往復設定されていましたがコロナの影響・バスドライバー不足で減便されています。運賃は、おとな2,200円(こども1,100円)ですが、繁忙期は「106特急」は200円増額となります。

実証実験のダイヤ

盛岡→宮古

山田線バスバス(土・休日運休)
区別盛岡区界川内茂市宮古
山田線6:327:127:36
急行5:456:277:097:348:00
山田線6:327:227:578:379:01
急行7:408:229:009:299:55
特急9:4011:20
特急10:4012:20
山田線11:0913:0913:30
特急11:4013:20
急行12:4513:2714:0514:3415:00
山田線13:1215:1015:31
特急13:4515:25
特急14:4516:25
特急15:4517:25
急行16:4517:2718:0518:3419:00
特急17:4519:25
山田線17:4618:4119:1519:5820:21
急行19:0019:4220:2020:4921:15

 バスの方がかなり利便性が高いです。一方の山田線は、廃止された岩泉線のバスの関係上柔軟なダイヤが組めていません。両方を生かすのであれば、調整が必要です。

宮古→盛岡

山田線バスバス(土・休日運休)
区別宮古茂市川内区界盛岡
急行5:205:416:106:467:35
山田線5:235:466:26
急行6:056:266:557:318:20
山田線6:457:127:578:339:27
特急7:459:25
特急8:4510:25
山田線9:199:4111:41
特急9:4511:25
特急10:4512:25
急行12:0512:2612:5513:3114:20
特急13:4515:25
特急14:4516:25
急行15:4516:0616:3517:1118:00
山田線15:5416:1716:5817:1118:21
特急16:5518:35
急行18:0518:2618:5519:3120:20
山田線18:0818:3119:1519:5020:40
山田線19:3419:5820:37

 こちらは、宮古行き以上に山田線のダイヤが使いにくいです。実際問題として山田線が機能しているのは19:34分発の列車のみです。

山田線の駅別利用状況

輸送密度

区間19871997200720172023
盛岡ー上米内844637500375227
上米内ー宮古72039722012471

利用者数(2017年度)

JR東日本が公表している駅のみです。2023年度は、見つかりませんでした。色付きの駅は、バス接続駅です。黄色は特急のみ停車。

駅名人数駅名人数駅名人数
盛岡17,957松草茂市38
上森岡川内8蟇目
山岸箱石花原市
上米内62陸中川井28千徳
区界1腹帯宮古243

 盛岡ー上米内駅間は、バスとJR山田線は離れた場所を通るため、列車のみしか利用できません。茂市ー宮古間は、バスの設定がJR山田線と旧岩泉線から転換したバスに配慮しているようです。茂市は、駅とバス停の間が結構あり坂も急なので列車からバスへの乗り換えは厳しいものがあります。

今後の見通し

JR山田線

 今の輸送密度では、経営が苦しいでしょうから代替交通のない盛岡ー上米内間以外は撤退もあり得ると思います。取りあえず5年間は、実証実験を続けることが決まっていますので廃線にするにしてもそれ以降でしょう。また、3月15日のダイヤ改正で上米内ー茂市間が1往復減便(盛岡発17時46分発宮古行き、宮古18時08分発盛岡行き)となります。バスとほぼ同じ時刻なので仕方ないでしょう。

 今年から秋の期間に落ち葉による車輪の空転を避けるため上米内ー川内間で1か月間運休が行われています。茂市-宮古間の区間列車は、岩泉線をバス転換した関係でしばらくは維持されるでしょうが、その内なくなるでしょう。

 実際のところ先行きは暗いように思えます。最終的には、盛岡ー上米内以外は廃線になると思われます。鉄道として残すのであれば、1か月間の運休は許されないでしょう。少なくとも代行バスは必要です。

「106急行バス」「106特急バス」

 こちらも、最盛期の20往復から12往復に減便されていて、特急便の本数が増えています。JR山田線が廃線になっても本数の増加はないでしょう。宮古市の人口推移によっては減便されるかもしれません。

 それでも、盛岡ー宮古間のメインルートであり続けると思います。

まとめ

 現在、JR山田線と並行して走る岩手県北バスで増便による実証実験が行われています。ただ、JR山田線の利用上から見ると、バスの方に軍配が上がることでしょう。最終的には、盛岡ー上米内間はJR、盛岡ー宮古間は岩手県北バスの路線となるでしょう。

3月15日のダイヤ改正の記事です。山田線以外にも変更がありますので興味がある方はご覧ください。秘境駅の区界駅の本数が下り1本、上り2本に減便されますが訪問する場合は熊が出る可能性があります。駅で列車を待つのは危険ですので写真を撮るだけにした方がいいと思います。

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