えちごトキめき鉄道も運賃値上げ #大糸線を考えている場合ではないのでは

観光列車(雪月花) えちごトキめき鉄道

 2月6日に新潟県の第三セクターである「えちごトキめき鉄道(トキ鉄)」は、2025年4月1日よ運賃を現行の1.18倍すると発表を行いました。2020年(令和2年)にも約1.3倍になる運賃値上げを行っており整備新幹線により経営分離された路線の厳しさを示しています。

えちごトキめき鉄道運賃改定について | えちごトキめき鉄道株式会社

えちごトキめき鉄道ホームページ

えちごトキめき鉄道について

経緯

 「えちごトキめき鉄道」は、北陸新幹線金沢延伸により経営分離される信越本線(妙高高原~直江津)、北陸本線(直江津~市振)を運行するために2010年(平成22年)11月22日に設立されました。

 北陸新架線金沢開業2015年(平成27年)3月14日にJR西日本とJR東日本から路線を引き継ぎ運行を行っています。

路線

 次の二つの路線からなります。

えちごトキめき鉄道の路線図
えちごトキめき鉄道ホームページより
  • 日本海ひすいライン(直江津~市振間)

 JR西日本北陸本線を引き継いだ路線です。全線電化されていますが、えちご押上ひすい海岸駅~梶屋敷駅間にデッドセクションがあり、西側は交流(20,000ボルト・60Hz)・東側は直流(1,500ボルト)となっています。あいの風とやま鉄道からの乗り入れる列車を除き気動車での運転が行われています。北陸新幹線との接続駅は、糸魚川駅となります。2022年度(令和4年度)の輸送密度は881となっています。

 列車は区間運転を含め1日21往復運転があり、約1時間間隔での運行となります。富山方面への乗り換えは泊駅です。電化区間ではありますが、利用者の数が少ないこと、デッドセクションがあるため気動車(ET122形)での単行もしくは2両編成での運行となります。

「観光急行」列車

 また、2021年(令和3年)にJR西日本から413系と455系を購入し、国鉄急行色を再現した「観光急行」を市振~直江津間で運行していましたが、車両故障により2024年(令和6年)12月28日より運休しています。

  • 妙高はねうまライン(直江津~妙高高原)

 JR東日本信越本線を引き継いだ路線です。こちらは全線電化されておりET127系2両編成とET122系1両編成での運行となります。この区間は、輸送密度が2022年度(令和4年度)で2,024と多いため最大6両編成での運行されます。新潟県の県庁所在地である新潟駅との間に特急「しらゆき」が4往復設定されています。下り列車26本・上り列車25本の設定があり、通勤時間帯は1時間に2本の運転があります。

「雪月花」車両

 2016年(平成28年)には、「えちごトキめきリゾート雪月花」用に2両新車を製作しています。2024年(令和6年)6月8日・9日には、只見線を通り会津若松まで運行しました。ハイデッカー車両で景色が楽しめる構造となっています。

えちごトキめき鉄道の現状

第14期(2023年度)事業報告

えちごトキめき鉄道ホームページ

日本海ひすいライン

 日本海ひすいラインは、もともと利用者の少ない区間を走行するため輸送密度が1,000を切っており大変苦しい状況となっています。また、気動車での運行ですが貨物列車が設定されている区間であるため電化設備の維持が必要となっており経営圧迫の一員となっています。2022年度の運輸収入は、15億5596千円であり、1キロメートルあたり約262万円となっています。日本海縦貫線の一部であるため、複線電化区間であることも経費の増大に直結しています。

妙高はねうまライン

 妙高はねうまラインは、輸送密度が2,000人を超えていますが、黒字にはなっていません。こちらの運輸収入は、51億5123千円で1キロメートルあたり約1,366万円となります。旧信越本線の一部ですが、単線区間となっています。

 今回のダイヤ改正では、始発列車の時刻を繰り上げ、上越妙高駅で北陸新幹線「はくたか591号」に連絡をし、東京駅到着を2時間早くすることにより利用者の利便性を図ります。さらに、県庁所在地である新潟県とのつながりを深めるため4往復ある特急列車「しらゆき号」の時刻を変更します。また、「しらゆき」とほぼ同じ時刻で運行する普通列車を1往復設定しています。夕方の列車を1本減便し、朝ラッシュ時に直江津発妙新井行きの列車を増発します。

経営状況

 2023年度(令和5年度)は、2億117万の赤字となっています。補助金等の収入を入れても全体で6,330万円の赤字となっています。補助金が1億8,338万円あり、実際は約4億円の赤字を計上しています。将来的にみれば、これ以上の補助金の増額は見込めないので何らかの対策が必要な状況です。そのために将来的な利用者数減少を見据えた列車本数の見直しも行われる予定となっています。2027年度に予定されているJR貨物からの線路使用料見直しも大きく影響を与えるものと思えます。

 前社長は、個人的な希望としてJR西日本の采井する大糸線(糸魚川ー南小谷)の経営に関心があるとの発言をしていましたが、そうするとさらなる赤字を呼び込むことになるでしょう。私の考えでは難しいと思います。

まとめ

 北陸新幹線開業により、第三セクターえちごトキめき鉄道ですが、利用者の取り込みを図るために列車の増発を行いましたが、コロナの影響や少子高齢化の影響により将来的には、経営は苦しくなっていくでしょう。

 そのためには、定期客以外の利用者増を図る必要があり、現在は観光列車「雪月花」・国鉄系車両での急行運転・旧北陸本線沿線の第三セクター会社との連携も行っています。できれば、列車本数の削減以外での収支改善ができればよいと思います。JR西日本が運行する大糸線区間の取り込みは、大きな赤字を生む可能性がある現状では難しいでしょう。

 特急列車「しらゆき」の増発とその影響についての記事です。よければ読んでみてください。

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