本日(2月16日)と2月22日に、日本旅行企画の団体旅行ツアーでJR東海の名古屋駅からJR西日本の管内の区間内である伊賀上野駅へ「キハ75形」を用いた団体列車が運行されます。将来的に急行「かすが」は復活するのでしょうか。
ツアーの概略
- 運転日 2月16日(日)・2月22日(土)
- 運行区間 名古屋駅~伊賀上野駅
- 車両 キハ75系
- 停車駅 関・伊賀上野
関西本線について
現在、関西本線はJR東海の名古屋駅~亀山駅・JR西日本の亀山駅~奈良駅・奈良駅~JRなんば駅までの3区間に分かれて運行されています。
名古屋駅~亀山駅
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JR東海の運行する区間です。名古屋市への通勤需要がメインとなりますが、並行する近鉄に対し苦戦を強いらている区間です。また、伊勢鉄道伊勢線を通り参宮線へ運行する快速「みえ」と和歌山県南部に運行する特急「南紀」も走っています。伊勢鉄道は、電化されていないため快速「みえ」と特急「南紀」は気動車での運行となります。
- 運転区間 名古屋駅~亀山駅(59.9キロメートル)
- 軌間 1,067ミリメートル(狭軌)
- 駅数 19
- 一部区間複線
- 電化方式 直流1,500ボルト
- 最高速度 名古屋駅~河原田駅間 時速120キロメートル 河原田駅~亀山駅間 時速95キロメートル
- 使用車両 H85形(特急「南紀」)・キハ75形(快速「みえ」)・313系(区間快速・普通)・315系(区間快速・普通)
- 輸送密度 10,257(2021年度)
この区間は、四日市駅から伊勢鉄道伊勢線に入線する特急「南紀」が定期列車4往と復臨時列車2往復、快速「みえ」が1時間あたり1本あります。また、名古屋駅~亀山駅間の区間快速(四日市ー亀山間は各駅停車)列車が1時間1本と、名古屋駅~四日市駅間の普通列車が1時間2本あります。さらに四日市駅~伊勢鉄道経由の津駅行きが1時間に1本あります。
近鉄に対抗するため名古屋駅~四日市駅の間は本数が多いですが編成は最大でも4両であり近鉄の利用者の方が多い状態です。
亀山駅~加茂駅
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JR西日本が運行する区間です。この区間は、利用者が少なくキハ120系がメインで運用されます。昼間に保守作業が行われることがあり、その場合はバスでの代行運転となります。以前バス代行がなかったころは、車内で近鉄列車の時刻をアナウンスしていた時期もありました。
- 運転区間 亀山駅~加茂駅(61.0キロメートル)
- 軌間 1,067ミリメートル(狭軌)
- 駅数 12駅
- 複線
- 電化方式 非電化
- 最高速度 時速95キロメートル
- 使用車両 キハ120系
- 輸送密度 942(2023年度)
近鉄との競争に敗れた区間です。列車はキハ120系1両もしくは2両での運転です。列車は、すべて亀山駅~加茂間の運転となり、奈良駅・大阪駅へ行くには加茂駅で乗り換えが必要となります。本線とは名ばかりで実際はローカル線となっています。また、時速25キロメートルの速度制限がある区間もあり所要時間は1時間25分程度かかります。本数は、下り24本(全区間運転は18本)、上り23本(全区間運転は19本)となっています。途中の柘植駅で草津線と接続しており東海道本線区間に出ることが可能です。※(2月17日修正)
加茂駅~JRなんば駅
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この区間は、通称「大和路線」と呼ばれる区間になります。本数が多い区間ですが、加茂駅~木津駅の間は、大和路快速が1時間あたり1本と亀山方面への普通列車1日23往復の運転となります。快速列車は大阪環状線に乗り入れ大阪方面へ、普通列車は今宮駅をとおりJRなんば駅へ向かいます。関西本線の中では最も利用の多い区間となります。
- 運転区間 加茂駅~JRなんば駅(54.0キロメートル)
- 軌間 1,067ミリメートル(狭軌)
- 駅数 21駅
- 単線(加茂駅~木津駅間)複線(天王寺駅~新今宮駅間を除く)・複々線(天王寺駅~新今宮駅間)※2月17日修正
- 電化方式 直流1,500ボルト
- 最高速度 加茂駅~奈良駅 時速95キロメートル・奈良駅~天王寺駅 時速120キロメートル・天王寺駅~JRなんば駅 時速95キロメートル
- 使用車両 201系(奈良駅~JRなんば駅)・205系(木津駅~奈良駅:奈良線普通列車)・207系(木津駅~奈良駅:学研都市線乗り入れ列車)・321系(木津駅~奈良駅:学研都市線乗り入れ列車)・221系(加茂駅~JRなんば駅:主に「大和路快速」)・287系(奈良駅~今宮駅:「らくラクやまと」)・683系(特急「まほろば」久宝寺~奈良間)
- 輸送密度 加茂駅~王寺駅 25,700(2023年度)・王子駅~JRなんば駅 98,130(2023年度)
関西本線で最も利用者が多い区間です。日中は、奈良駅~大阪駅~京橋駅~天王寺駅間の「大和路快速(天王寺駅~京橋駅~大阪駅間は各駅停車)」と王寺駅~JRなんば駅間の普通列車が15分間隔で運行しています。また、ラッシュ時には久宝寺駅からおおさか東線へ入る直通快速もあります。
名古屋~伊賀上野間の臨時列車
急行「かすが」の歴史
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かつて、名古屋駅から奈良駅を結んでいた急行列車で、1949年(昭和24年)から設定された準急列車です。3往復の設定がありました。当初は、蒸気機関車での運行でしたが、1956年(昭和31年)から気動車での運転となりました。1973年(昭和48年)には、キハ58系が投入され冷房化がなされました。最盛時には、下り3本・上り5本の設定がありましたが利用低迷により1985年(昭和60年)3月のダイヤ改正で1往復となりました。
1999年(平成11年)には、キハ75形に置き換えられ快適性が上がりましたが利用は伸びず2006年(平成18年)3月18日のダイヤ改正により消滅しました。
今回のツアー列車について
今回の臨時列車の概要は次の通りです。
- 運転区間(行き):名古屋(8時51分)→関(10時09分)→伊賀上野(10時45分)
- (帰り):伊賀上野(15時34分)→関(16時18分)→名古屋(17時44分)
- 車両:キハ75形2両編成
- 料金:7,500円(名古屋~伊賀上野)
今回は、JR西日本の子会社である日本旅行の企画ですが、JR東海のキハ75形での運転となります。現役時代は1時間30分で運転されていましたが、今回は約2時間の所要時間となります。恐らく、徐行区間の増加と列車交換によるものでしょう。
残念ながら、団体ツアー列車ですので一般の乗客は乗車できません。実証実験としての運転ですが、2日間の運転で旅行商品ですので実験としてみることはできないでしょう。また、転換クロスシート車ですが、快速列車に使用されている車両ですし、運用上の予備もないと思われます。これをもって急行「かすが」の復活とはならないでしょう。
今の関西本線(加茂駅~亀山駅)の利用状況を見れば、急行列車の需要はないと思います。実際、大半の奈良~名古屋の列車利用者は近鉄を使うと思われます。今回限りの企画でしょう。輸送密度942は、廃線の対象となってもおかしくない数値です。
まとめ
2月16日(日)と2月22日(土)に、名古屋駅~伊賀上野駅間でキハ75形を用いた臨時団体列車が運行されます。急行復活のための実証事件となっていますが、2日だけのツアー商品でしかありません。今の、大阪~奈良~名古屋間の近鉄優位の状況では優等列車の設定はないと思います。
コメント
亀山駅~加茂駅 の項目の欄で、2点、明らかな間違いがあるように感じました。
(引用)加茂駅止まりの列車はなく奈良駅まで運行されます。本線とは名ばかりで実際はローカル線となっています。
時刻表に加茂駅止まりでない(奈良駅まで向かう)列車が1本も見当たりませんが…?
路線…複線と記載されていますが、当該区間は全て単線の筈ですが…
いい加減な事は発表されない方がよろしいかと思います…
ご指摘ありがとうございます。当方の勘違いです。当該部分は修正を行いました。