信越本線特急「しらゆき」増発なるか #アボイダブルコストルールの壁

「いなほ」と「しらゆき」 えちごトキめき鉄道

 新潟日報が2月10日に報道した記事によると、えちごトキめき鉄道の新井駅とJR信越本線の新潟駅とを結ぶ特急列車「しらゆき」の利用者に対し新潟県が独自の割引を実施するようです。利用者を増やすことによって本数の増加を期待をしての政策とのことです。

新潟-上越利用者増へ…特急「しらゆき」県が独自の運賃割引実施へ ネット予約対象、現行3割引きからさらに安く | 新潟日報デジタルプラス

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特急「しらゆき」の現状

 特急「しらゆき」は、えちごトキめき鉄道の新井駅から直江津駅を経由し、信越本線を通り新潟駅へと運行します。2022年(令和4年)3月12日のダイヤ改正で5往復から4往復に減便されています。また、2024年(令和6年)には、2枚つづりの割安な回数券「Wきっぷ」が廃止され、現在は、えきねっと会員限定のおトクなきっぷ「特急トクだ値1」が販売されています。

 このきっぷは、柏崎・直江津・上越妙高から長岡・新潟間で設定されており、普通運賃と指定席特急料金から30%割引になります。通常期で、直江津ー新潟間で片道3,280円となっています。通常の料金が4,700円(乗車券2,310円・指定席特急券2,390円)であり、1,420円安くなっています。

 この度新潟県は、インターネット限定で割引率をさらに上乗せしたきっぷを販売することにより、利用者の増加を図り増便につなげたい考えのようです。

 新潟県は、上越地方と下越地方との距離が長く同じ県内でも移動が大変ですので、特急列車の増発は悲願であると言えるでしょう。

JR貨物との関係

 えちごトキめき鉄道とJR信越本線は、JR貨物が第二種鉄道事業者として貨物運送を行う路線となっています。そのため、JR貨物から線路使用料として「アボイダブルコストルール」によって算出された金額を支払われます。また、えちごトキめき鉄道は北陸新幹線の並行在来線として経営分離された路線であるため、新幹線の収入の一部が貨物調整金として受け取ることができます。

 「アボイダブルコストルール」は、名目上は鉄道会社がJR貨物の貨物列車が走行することにより余分に必要となる経費を鉄道施設を有する鉄道事業者に支払う決まりです。ただし、どういった基準で決定しているかなどは明らかにされていませんので実際はどうなっているかは不明です。ただ、実際の費用以下の金額のためJRなどは値上げを求めています。

増便したらどうなるか

 増便を行うことで、JR東日本・えちごトキめき鉄道の列車の割合が増加するので、線路使用料は減額されるでしょう。従って、利用者の増加が収入の増加に繋がるとは限りません。さらに、増発するとなれば、車両の増備・乗務員の増員が必要となり経費も当然上がります。

 結局のところ、線路使用料の減額によりJR貨物のみが利益を得て、補助金を出した新潟県や列車を運行するJR東日本は減収がとなることも考えられます。そうなると、新潟県は県民の利便性の増加という目的を達しているため適正な税金の使用となるでしょうが、JR東日本は、株主に対して説明責任を果たす必要が生じます。

結論

 2027年(令和9年)に、「アボイダブルコストルール」が見直しされることになっています。恐らく、JR貨物の負担増という形になりそうです。それを考慮すると新しいきっぷについては、早く導入してもいいと思いますが増便は、見直しの結果が判明しないと難しいでしょう。特に、経営が苦しいえちごトキめき鉄道にとって線路使用料は欠かせないものですのですぐに増発とはいかないと思われます。

3月15日のダイヤ改正で、特急「しらゆき」の時刻が変更になります。詳しくは、リンク先かJR東日本のホームページでご確認ください。

JR東日本:東日本旅客鉄道株式会社

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