四国新幹線について考える(岡山ルート) #前向きな方向で

N700系です。 新規の新幹線

 新しい新幹線の建設について、全国から要望が出ていますがその中でも一番可能性が高いと言われている「四国新幹線(岡山ルート)」について検討してみたいと思います。

概要

 「四国新幹線(岡山ルート)」は、岡山駅から瀬戸大橋をとおり、高松・徳島・高知・松山へ繋がるルートです。2023年5月25日に徳島県も合意をし、現在国に対して実現を求めいるところです。本四備讃線の茶屋町駅から宇多津駅までの区間は、準備工事を行なっています。在来線の状況は、次のようになっています。

 前提条件として、建設費の総額は考えないことと、坂出駅もしくは宇多津駅でそれぞれの新幹線を連結することにしています。

香川県(高松)

  • 岡山(瀬戸大橋線)坂出(予讃線)高松
  • 距離 71.8キロメートル
  • 所要時間 岡山から55分
  • 本数 快速「マリンライナー」下り 38本 上り 35本 寝台特急「サンライズ瀬戸」1往復
  • 輸送密度(2023年度) 岡山~茶間町 38,269 茶屋町~児島 25,244 児島~多度津 22,270 宇多津~高松 22,302
  • 途中駅 宇多津(坂出)・端岡

 列車本数も多く、利用が多い区間です。快速「マリンライナー」が便利すぎるため特急列車は、2025年のダイヤ改正で設定がなくなりました。

徳島県(徳島)

  • 岡山(瀬戸大廃線)坂出(予讃線)高松(高徳線)徳島
  • 距離 146.3キロメートル
  • 所要時間 岡山から2時間10分
  • 本数 特急「うずしお」15往復
  • 輸送密度(2023年度) 高松~徳島 3,739
  • 途中駅 宇多津(坂出)・端岡・高松・引田

 徳島県からは、関西へ出かける場合は基本的に高速バスを使いますのでほとんどが高松に用事がある場合に鉄道を使います。

高知県(高知)

  • 岡山(瀬戸大橋線)宇多津(予讃線)多度津(土讃線)高知
  • 距離 179.3キロメートル
  • 所要時間 岡山から2時間30分
  • 本数 特急「南風」14往復
  • 輸送密度(2023年度)多度津~琴平 4,919 琴平~高知 2,441
  • 途中駅 宇多津(坂出)・観音寺・琴平・阿波池田・大杉

 琴平駅から土佐山田駅の間は、ほとんどが特急利用です。したがって、特急利用者は2,000人強でしょう。

愛媛県(松山)

  • 岡山(瀬戸大橋線)宇多津(予讃線)松山
  • 距離 214.4キロメートル
  • 所要時間 岡山から2時間40分
  • 本数 特急「しおかぜ」15往復
  • 輸送密度(2023年度)多度津~観音寺 8,086 観音寺~今治 4,094 今治~松山 6,092
  • 途中駅 宇多津(坂出)・観音寺・新居浜・新今治(今治市の南の山中)

 路線が高速化されている分、高知と35キロメートル違っていても10分程度の差です。沿線人口も多く、多客期には特急「しおかぜ」8両編成で運行します。特急利用者は3,000人くらいだと思われます。

新幹線を作るとすれば

香川県(高松)

 所要時間は、25分程度となるでしょう。大阪方面への移動を前提に考えると、乗り換えが不要になることで1時間20分となりそうです。本数的には、1時間に1本でしょう。

徳島県(徳島)

 所要時間は、50分程度でしょう。2025年度のダイヤ改正で「うずしお」がなくなったことを考えると主に高松との移動手段となりそうです。本数は1時間1本でしょう。

高知県(高知)

 所要時間は、50分程度だと思います。土讃線の線形が悪いので時短効果が多きなっています。乗り換え不要となると高速バス・飛行機の乗客が流れてくる可能性があります。本数は、1時間に1本でしょう。

愛媛県(松山)

 所要時間は、55分程度でしょう。海岸沿いではなく、山地をトンネルで距離を少なくしての路線となりそうです。本数は、1時間1本でしょう。

考えられる問題点

香川県(高松)

  • 利便性の低下

 岡山までは、1時間2本は可能だと思います。しかし、現行の岡山~新大阪間は、1時間あたり「博多のぞみ」1本・「広島のぞみ」1本「みずほ」「さくら」が2本・「ひかり(実際は「こだま」)」が1本ですので利用客の大幅な増加がない限り「さくら」の枠を新幹線に充てるようになるでしょうから山陽新幹線乗り入れは1時間1本が限界です。

 また、現在特急料金不要の「マリンライナー」が1時間に2本あります。岡山で乗り換えが不要になっても特急料金を払ってまで利用する人は少ないと思います。特急料金は2,500円程度になるので往復5,000円です。

  • 高松駅の場所

 徳島まで新幹線を通すことを考えた場合、現在の高松駅付近に駅を作ることは難しそうです。駅は、市街地から外れることになるので時間短縮の効果がほとんどなくなってしまいます。新幹線の駅までのアクセスが悪い駅はほとんど失敗しています。

  • 並行在来線の問題

 輸送密度の数字的には、判断が難しいですが高松~坂出が対象となる可能性があります。駅ができる可能性のある端岡駅・坂出駅以外の利用者はメリットはないと考えます。徳島駅まで新幹線となると高徳線も並行在来線となり、経営分離は避けられないでしょう。香川県の負担は、距離が長い分かなりの額となると思います。

徳島県(徳島)

  • 利便性の問題

 徳島駅からは、山陽新幹線へのアクセスルートではなく、四国内の移動がメインとなるでしょう。そうすると市街地から外れる高松駅に対しての時間短縮効果は薄いでしょう。松山・高知への移動についても現況の「しおかぜ」「南風」の運用を見れば数値的に低いと思います。今の高松駅にスイッチバックで入れるという手もありますが、所要時間が多くなるため現実的とは言えません。

  • 並行在来線の問題

 高徳線が経営分離の対象となるでしょう。鳴門線・徳島線についても高徳線の一部区間が存在しますので、運賃が高くなります。現況の本数・利用実態から経営的にかなり苦しくなることは避けられないでしょう。淡路島を通るルートが一緒に出来るのであれば、時間的に大きく短縮できるため高徳線部分を負担してでも新幹線を作るメリットはありそうです。徳島県にとっては、高徳線の距離はあまり大きくないのでそこまでの負担にはならないでしょう。

高知県(高知)

  • 利便性の問題

 高知市民にとっては、メリット大です。時間的にも大きく短縮され、岡山駅での乗り換えもなくなります。特急料金が高くなっても支払う価値はあるものと思います。御免駅は、距離的に設置は難しいので土佐山田駅・御免駅・土佐くろしお鉄道の利用者にとっても少なくはなりますが、メリットを享受できるでしょう。

  • 並行在来線の問題

 阿波池田~高知の間が並行在来線になるでしょう。特に阿波池田~土佐山田の間については、廃線になる危険性があります。利用者は少ないとはいえ十分な説明と納得が必要でしょう。また、存続部分についても、第三セクターの土佐くろしお鉄道を持っている上への負担ですので高知県として受け入れられるかがカギを握っているでしょう。土讃線の一部区間を廃止すると多度津工場の車両の移動が問題になります。ここの負担も調整が必要です。

愛媛県(松山)

  • 利便性の問題

 松山市からも十分に負担に値すルートものだと思います。ただし、今治市が新幹線のルートから外れるのでその部分をどうするかが問題となるでしょう。問題としてはそのだけだと思います。

  • 並行在来線の問題

 予讃線の多度津駅から松山駅までが該当するでしょう。人口の多い今治市のためにそれなりのリソースをさく必要がありそうです。該当部分は、特急がなくなってもそれなりの輸送密度2,500位となりそうですので黒字にはならないですが、負担としてはそこまで大きくないでしょう。

岡山県

  • 利便性の問題

 特急利用者は、ほとんどが岡山駅からの利用なのでそこまで、影響はないでしょう。特急列車が1時間あたり2往復減るので単線区間の線路容量にも若干の余裕ができると思います。岡山駅から児島駅の区間は、本数も維持されるでしょうから大丈夫だと思います。

  • 並行在来線の問題

 JR西日本が、岡山駅から児島駅までの運行をする場合は、瀬戸大橋線が対象になる可能性があります。北陸新幹線の小浜ルートで湖西線が並行在来線として経営分離するとJR西日本は言っているため瀬戸大橋線が経営分離される可能性があります。

また、宇野みなと線についても輸送密度約3,000の路線ですので一緒に引き取ってほしいという話になる可能性もあります。全線JR四国に運行してもらった方が岡山県的にはありがたいでしょう。

  • 建設費の負担の問題

 岡山県内の区間については、岡山県内の自治体で負担する必要があります。あまりメリットのない新幹線について資金を出す必要があるか検討する必要があるでしょう。

  • 地理的な問題

 岡山駅に新幹線を入れるルートの選定も大事な要素だと思います。瀬戸大橋円のルートのように曲線半径が小さいと、速度的にも問題があります。また、新幹線の線路を敷く土地の確保もそうです。児島駅から東に進路をとって、東岡山駅付近で合流させる手もありますが、岡山県にとってはメリットが全くなく四国へのアクセスが不便になるだけです。

考察

 今回の四国新幹線岡山ルートは、高知県・松山県にとっては価値のあるものと言えそうです。しかし、香川県・徳島県にとっては余りメリットはないと思います。今の、整備新幹線着工5条件の下では建設する必要なないのではないでしょうか。当然ルールが変われば変わってきますが・・・。

 後は、岡山県をどう説得するかがキーポイントとなるでしょう。岡山駅に入らず費用に対する効果がないとなると県民の理解が得られないと思います。

まとめ

 四国新幹線を岡山ルートでつけるのであれば、高知県・愛媛県にとっては十分な価値があると言えるでしょう。一方で、香川県。徳島県にとっては必要ないと思います。後は、岡山県とJR西日本をそう説得するかだと思います。また、編成としては松山行き5両と高知行き3両が最適と考えます。

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