宗谷本線(名寄駅~稚内駅)は、輸送密度が2,000以下の黄色線区となっており、JR北海道での単独での維持が困難な路線であるとされています。しかしながら、稚内は他国との国境に近いという意味もあり、石北本線・釧網線・根室本線(釧路駅~根室駅)と同じく別の意味からも存在価値があります。
宗谷本線(名寄駅~稚内駅間)について
宗谷本線(名寄駅~稚内駅間)の概要
2024年のダイヤ改正時点での状況です。
- 路線距離(名寄駅~稚内駅) 183.2㎞
- 駅数 21(2025年3月14日で 雄信内駅・南幌延駅・抜海駅が廃止)
- 非電化単線
- 輸送密度 252(2023年度(令和5年度))
- 営業係数 903(2023年度(令和5年度))
- 列車本数 名寄駅~音威子府駅間 下り:普通列車 4本・特急列車 3本(うち臨時列車 1本)、上り:普通列車 5本・特急列車 3本(うち臨時列車 1本)
- 音威子府駅~稚内駅間 普通列車 下り:普通列車 3本・特急列車 3本(うち臨時列車 1本)、上り:普通列車 4本・特急列車 3本(うち臨時列車 1本)
- 沿線の自治体 名寄市(25,000人)・美深町(3,700人)・音威子府村(600人)・中川町(1,300人)・幌延町(2,000人)・豊富町(3,500人)・稚内市(30,000人)
宗谷本線(名寄駅~稚内駅)の使用車両
- キハ40系(名寄駅~稚内駅間)


名寄駅~音威子府駅間の普通列車に使われます。車内はセミクロスシートです。車両不足時には、稚内駅まで乗り入れることもあります。観光列車「花たび そうや」は、専用の車両が稚内駅まで運行します。
- キハ54形

名寄駅~稚内駅間の普通列車で使われます。転換クロスシートとなっており比較的快適に乗車できます。
- キハ261系

特急列車「宗谷」・「サロベツ」に使われます。「宗谷」は札幌駅~稚内駅まで、「サロベツ」は旭川駅~稚内駅間の運行です。2014年(平成26年)8月30日のダイヤ改正後は、車体傾斜制御を使用を停止しおり所要時間が長くなりました。
宗谷本線(名寄駅~稚内駅)の抱える問題
以下の問題をこの区間では抱えています。
- 他国と国境を接するための防衛上の問題
- 社会インフラとしての問題
- JR北海道の経営上の問題
- 観光客の誘致の問題
以上4点について検討が必要となります。
4つの問題について
防衛上の問題
稚内は、日本の最北端にあり他国と海を挟んで向かい合っている状況にあります。従って有事の際は大事な拠点となることが考えられます。現在は、この区間は貨物輸送はありませんがもしもの時は必要となるでしょう。国土防衛上必要となると国が判断しているなら国営化してでも存続させる必要があります。JR北海道の負担を減らすため上下分離による運行に切り替えるべきと考えます。また、現在は行っていない貨物輸送にも対応できるように路線の整備が必要でしょう。
社会インフラとしての問題
この区間は、列車本数が少なく社会インフラとして十分に機能しているとは言えない状況です。また、北海道は面積が本土に比べて広く人口密度が低くなっています。少子高齢化の進展により、鉄道以外の社会インフラである道路・水道・電気についても維持が困難になることが予想されます。ある程度以下の集落については、鉄道・バス路線の利用できる地域に集約させる必要があるでしょう。その上で鉄道かバス転換かの選択をすることになるでしょう。
JR北海道の経営上の問題
北海道という厳しい自然条件下にある宗谷本線は、そもそも鉄道運営にとっては厳しい場所です。また、沿線人口も少なく日常の利用に増加については期待できません。他の問題を考えないのであれば、バス転換が最も好ましい選択のように思えます。普通列車については、学校・病院・買い物の需要に応じたダイヤでのバス転換が望ましいと思います。特急列車は、観光客を誘致する上で残すのが妥当ではないでしょうか。
観光客の誘致の問題
鉄道と競合するものとして、高速バス「わっかない号」と飛行機があります。本数は、鉄道が3往復、高速バスが6往復(うち夜間便が1往復)、飛行機が新千歳空港へ2往復、羽田空港で1往復となっています。
料金は、鉄道が片道11,090円(最安で7,200円(7,420円(4月1日販売分から))、高速バスが6,700円(ネット割で6,030円)、飛行機が最安料金で8,850円+1,150円(札幌駅から新千歳空港までのJR運賃)+700円(稚内空港~稚内駅までのバス)で10,000円です。4月1日からは80円値上げになり、10,080円です。飛行機は時期によって変わりますし早めの予約が必要なので最安値での移動は難しいでしょう。
※4月1日からの運賃値上げを忘れていました。
所要時間は、飛行機が55分で一番早いですが、途中での移動時間・鉄道・バスの時間を考慮したら3時間は見ておく必要があるでしょう。JRは、札幌駅まで直通の「宗谷」で5時間12分、バスは5時間50分です。どれも一長一短だあるので利用者の考え方次第だと思います。私は、行き帰りは別の方法で行きたいと思います。
バスが苦手な人もいるので3種類あるアクセス方法は残す方が好ましいと思います。
私の意見
世界情勢が不安定化している今、鉄道を廃止することは国土防衛上の観点から好ましくないと思います。一方で、JR北海道の経営につていは宗谷本線はかなりの負担となっています。また、観光の面からも鉄道の配線は、沿線自治体に対して大きな影響を与えるでしょう。
そこで、私の意見としては普通列車のみバス転換し需要に応じた交通体系の構築がもっともよい方法だと考えます。また、ある程度の人口の集約は必要となるでしょう。特急列車については、今の体系を維持しながら、臨時の観光列車を走らせるのがよいと思います。
また、上下分離により国が施設・線路部分は負担したほうがいいでしょう。旭川駅~名和駅間についても決して経営がいいわけではないのでこの部分も上下分離したほうがよさそうです。北海道はともかく、市町村レベルでは維持費の支出は難しいでしょう。他の存廃を協議している路線とは事情が異なるため、同じ見方はできないと思います。
特急券追加で乗車できるのであれば、「北海道&東日本パス」で使えればうれしいです。夏以降の販売はないかもしれませんが・・・。
まとめ
宗谷本線(名寄駅~稚内駅)については、旭川駅以北の全線を上下分離により国の所有・管理が望ましいと思います。また、普通列車については地域の事情にあわせたバス路線での再編が好ましいのではないでしょうか。宗谷本線自体は、有事の際に貨物輸送が可能な状態を維持し特急列車のみの運行を提案します。もちろん「青春18きっぷ」の特例は設定する必要はないでしょう。
コメント