城端線・氷見線新型車両デザイン決定! この計画だと将来に大きな負担を残すように見えるが・・・。

氷見線 あいの風とやま鉄道

 城端線・氷見線再構築会議は、昨日(2025年5月16日(金))の第4回城端線・氷見線再構築会議において、JR西日本から「あいの風とやま鉄道」に移管が決定している富山県の氷見線・城端線で使用する車両のデザインと概要を発表しました。資料によると、現行使用しているキハ40系・キハ47系24両を新型車両34両で置き換える予定となっています。車両数の増加は、日中の時間帯に氷見線・城端線を30分間隔で運行するために必要な両数ということです。

富山県/第4回城端線・氷見線再構築会議(令和7年5月16日開催)

富山県ホームページより
富山県ホームページ(5月16日) 富山県/城端線・氷見線新型車両デザインデータより引用

城端線・氷見線について

城端線・氷見線の概要

  • 城端線 高岡駅(富山県高岡市)~城端駅(富山県南砺市) 29.9キロメートル
  • 氷見線 高岡駅(富山県高岡市)~氷見駅(富山県氷見市) 16.5キロメートル

 城端線・氷見線は、富山県の高岡駅を起点とする地方交通線です。北陸新幹線開業により、北陸本線が「あいのかぜとやま鉄道」に経営分離されたことにより将来のあり方が不安視されていましたが、2023年(令和5年)10月23日にJR西日本から「あいの風とやま鉄道」に2028年度末をもって経営移管することが決定しました。

 これについては、JR西日本は自社の在来線のない飛び地である赤字ローカル線の城端線・氷見線を切り離し経営の合理化ができる事、「あいの風とやま鉄道」にとっては、旧北陸本線と一体の運用が組めるため利用者の利便性の向上が望めるためすんなりと決まったものと思われます。

 なお、北陸新幹線の停車駅である新高岡駅は城端線の駅の一つです。

輸送密度について

  • 城端線 2,540(2023年度)
  • 氷見線 2,175(2023年度)

 どちらもあまりいい数値ではありません。ただし、2,000を越えているためJR西日本の廃線対象からは外れていましたが、北陸本線の経営分離により飛び地となっているためJR西日本としては廃線にしたかったのが本音だと思われれます。実際、芸備線の再構築協議会では輸送密度が約10,000の広島駅と下深川駅の区間でさえ赤字と言われていましたので赤字であるのは間違いないでしょう。

 営業係数に(100円収入を得るために必要な経費)については、輸送密度が2,000を越えているため公表されていませんが赤字(営業係数100以上)でしょう。城端線・氷見線鉄道事業再構築の資料では、2022年度(令和4年度)の赤字額は城端線と氷見線の合計で10.86億円と記されています。

新型車両について

車両の概要

 第4回城端線・氷見線再構築会議資料・報道機関のニュース等から推測できる範囲で記したいと思います。

  • 編成両数 2両固定編成(恐らく4両での運行が可能)
  • 投入本数 34両(17編成)
  • 座席配置 転換クロスシート(車端部のシートは一部ロングシートのセミクロスシート車?)
  • 動力 電気式気動車

 順番に見てみたいと思います。

 編成両数については、現在城端線・氷見線は利用客数に応じて1両から3両編成で運行しています。デザインにある2両編成のみだと2両および4両編成しか組めませんので供給量オーバーにより経費の増大が不安視されます。2両編成のみと決まったわけではないですが1両編成も必要だと思います。

 投入本数は、現行の1時間に1本の運行から30分に1本の運行に増便し城端線・氷見線ともに1日30往復の運行のために必要との判断から決定されたようです。現行の2倍の本数にするのであれば34両必要となるでしょう。個人的には、利用客が増えずに車両を持て余す状態になるような気がします。

 座席配置については、氷見線に雨晴海岸という絶景スポットがあることを考えれば、ロングシートよりは転換クロスシートの方がいいと思います。通勤・通学需要を考えると車窓がいい側だけ転換クロスートでもいいような気がしますがどうでしょうか。

 電気式気動車を導入するのは、時代の流れからして当然だと思います。この部分については全面的に賛成したいと思います。

1両編成は必要なのか?

 個人的には、需要に応じた柔軟な運用のため必要だと思います。電気式気動車を導入して、運転機器を2両に分散するのであれば将来2両→1両への変更も難しいと思いますので、私の意見としては1両編成と2両編成の組み合わせで製造するべきだと考えます。

コストについて

城端線・氷見線の「あいのかぜとやま鉄道」への移管のコストについて

 詳しくは、リンク先を見ていただいたらと思います。総額が382億円となっています。国が約2分の1、富山県と沿線自治体が約4分の1、JR西日本が約4分の1の負担です(補助金の割合等で若干負担率はは異なりますが)。

参考資料:231218_00_press_jyouhana_himi.pdf(JR西日本ホームページ)

 城端線・氷見線に、県と市町村で150億円出せるのであれば富山地方鉄道にもいくらか補助をした方がいいのではないかと個人的には思いますが、今回の本筋とはずれますのでこの話題は、今度の機会にしたいと思います。

 また、城端線・氷見線の「あいの風とやま鉄道」への経営移管にあたり営業上の赤字(現行で10.86億円)はすべて富山県と市町村とで負担することになっています(これが「あいの風とやま鉄道」が引き受ける条件のため)。この金額は毎年負担する金額となりますが、正直負担に耐えられるものが疑問がわきます。

コスト削減と増収について

 後ろ向きの話ばかりしているので、少しは城端線・氷見線の利用客増加策についても述べたいと思います。

  • 城端線

 現在、高岡駅・新高岡駅から出ている白川郷へのバスの始点を城端駅とし、インバウンドの取り込みを図り、城端線の利用者数を増加させるのがベストだと思います。白川郷は、インバウンド需要が大きいと聞いているためそれなりの人数を取り込めるのではないでしょうか。もっとも、レンタカーを利用するようになってしまったらどうしようもありませんが・・・。

  • 氷見線

 車窓風景の良い雨晴海岸と海産物で有名な氷見市を観光スポットとして売り込むのが一番の増収策だと考えます。また、若干不便にはなりますが、高岡駅~氷見駅の区間で競合している路線バスの減便・廃止も必要ではないでしょうか。

 増便により、城端線・氷見線再構築会議は利用者の増加を見ているようですが、私は利用者の減少が鈍化する程度にしかならないと考えています(人口・学生・労働者人口が減少する状況で日本人の利用の増加は見込めないと思います。)。そう考えると、インバウンド客の取り込みしかないと思いますがどうでしょうか。

まとめ

 城端線・氷見線の「あいのかぜとやま鉄道」への経営移管は、JR西日本の現状を考えると最善の手だと思います。ただ、鉄道ファンとして計画を見た時に継続可能であるかという点で疑問が出てくる計画でもあるため、再度の検証が必要ではないでしょうか。

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