京阪神地区で圧倒的な強さを誇る新快速ですが、岡山駅まで延長することはできるでしょうか。普通この質問をすると新幹線を使ったほうが儲かる、競合する私鉄がないから無理といった答えが返ってくるでしょう。そこであえて何とか延長することを前提で考えてみたいと思います。
取りあえずデータから
議論の前提となるデータがないと始まりませんので、山陽本線のデータから。
山陽本線のデータ
- 距離(姫路ー岡山間) 88.6キロメートル
- 電化方法 直流1,500ボルト
- 保安装置 ATS-P(姫路ー上郡間)、ATSーSW(上郡ー岡山間)
- 線路数 複線
- 軌間 狭軌
- 最高速度 時速120キロメートル
- 輸送密度(2018年度) 姫路ー上郡 26,559 上郡ー岡山 14,924
- 列車本数(姫路・相生ー岡山間) 普通列車 21往復
- 料金 岡山ー姫路 乗車券 1,520円 特急券(通常期)2,290円 岡山ー相生 乗車券 1,170円 特急券(通常期)2,290円 自由席特急券 990円
- 途中駅の乗車人数(2018年度)
姫路 | 51,802 |
英賀保 | 4,618 |
はりま勝原 | 5,347 |
網干 | 7,897 |
竜野 | 2,165 |
相生 | 9,080 |
有年 | 261 |
上郡 | 3,077 |
三石 | 180 |
吉永 | 446 |
和気 | 1,341 |
熊山 | 1,383 |
万富 | 625 |
瀬戸 | 2,732 |
上道 | 1,454 |
東岡山 | 3,939 |
高島 | 3,519 |
西川原 | 3,863 |
岡山 | 69,571 |
227系スペック
- 軌間 狭軌(1,067ミリメートル)
- 電気方式 直流1,500ボルト
- 最高速度 時速130キロメートル
- 制御方法 VVFインバータ制御
- 編成両数 4両もしくは8両(6両編成は新快速運用には入りません)
- 現在の運行区間 山陽本線・東海道本線(上郡ー米原)、赤穂線(播州赤穂ー相生)、北陸本線(米原ー敦賀)、湖西線(山科ー近江塩津)
岡山延長の課題と解決方法
車両面
- 編成が4両もしくは8両編成のみである。
網干以西は、12両編成での乗り入れはできないので4両もしくは8両となる。また、米原以北は4両編成でぼ運転となる。そのため、岡山←8両・4両→米原での編成となり、岡山側が8両編成となって姫路もしくは網干で切り離し8両編成での運用となるのでオーバースペックであるが、以前は、逆の編成で岡山側を4両にしての運用がありその際姫路駅で切り離しを行っていたことがあります。同様にすれば4両編成での運転が可能でしょう。4両ならば、少し輸送力が大きいかもしれないが問題にするほどではないと思われる。
- VVVFインバータ制御・改正ブレーキに対応しているか
山陽本線は、貨物列車の関係もあり既に対応は済んでいます。赤穂線に入らない限り問題はないでしょう。
- 岡山地区は、ATSーSWを使用してるが問題ないか
225系は、ATSーSWにも対応しているので問題はありません。
以上より、車両面の問題はないと思います。
運用面での問題
- 停車駅をどうするか
1994年(平成6年)に運行された「サンデー三都号」は、相生駅・和気駅・瀬戸駅に停車していました。1997年(平成9年)から運転された「チボリ号」も同じ停車駅でした。この停車駅で運行するのであれば、通過駅の利用者数があまりにも多すぎます。高島駅・東岡山駅・瀬戸駅・上郡駅・相生駅とするのが自然でしょう。さすがに、普通列車を格上げするのは通過駅にとって利便性の低下に繋がるので増便の形(1日4往復までが限度)にするのが妥当でしょう。あるいは、日中の瀬戸行きを東岡山行きに短縮するかでしょう。
- 4両で運行する場合に、米原以北をどうするか
米原以北は、4両編成しか入れませんので草津行きもしくは野洲行きにするしかないでしょう。青春18きっぷのユーザーには、悲しい話でしょうが普通列車はあくまで沿線の人が使うものなのでこれは当然でしょう。
- 車両が不足するのでは
ここは、素直に製作するか、あるいは毎時1本新快速を草津行きに短縮した車両を使うようになるでしょう。もしくは、マリンライナーで使用している223系5000番台を新車に置き換えて4両編成×3に組みなおしてもよいかもしれません。
- ダイヤが乱れた時どうするのか
播州赤穂駅にデータイムの新快速の乗り入れがなくなった大きな理由です。あちらは、単線で30分サイクルのダイヤがぎりぎり組める状態なので大きな問題だったのでしょう。幸い山陽本線は複線なのでそこまでの乱れにはならないでしょう。しかし、ダイヤが乱れると敦賀から岡山まで影響を受けることになります。現在でもいったん何かあると終日ダイヤが乱れています。それを考慮すると、岡山駅ー姫路間での区間運転に切り替えるしかないでしょう。あるいは、休日のみの運転とするのがよいのかもしれません。
- 新幹線から乗客が移るのでは
結局、これが一番大きな問題です。JR西日本にとって特急券の料金と青春18きっぷユーザーのワープの料金は大きな収入です。今年は、大阪万博がありますし、USJ・京都といった観光地への取り込みを図るため大々的に広告を出して注目してもらいユーザーを確保するぐらいしか思いつきません。結局のところ山陽本線の利用者数の増加がカギを握っています。最低限として、郵便局を駅舎に移転し、コンビニにある証明書発行機を置いて鉄道を使うメリットを生み出すことは必要でしょう。山陽本線も、ほとんどの駅で無人化されていますので治安上の向上も期待できるでしょう。市役所・町役場を駅に設置するのは無理でしょうが、支所・サービスコーナーであれば駅舎を活用できるのでこれもありだと思います。
そして、JR西日本の各路線に設定されている「うれしート」を1両全部に適用するのもいいと思います。青春18きっぷでは、チケットレス指定券は利用できないので530円は確実に確保できます。結果として、在来線の利用者数の増加に繋がれば穴埋めはできるでしょう。
まとめ
2010年(平成22年)3月10日に、井戸兵庫県知事と石井岡山県知事がJRに新快速延長を要望するというニュースを来たときは、大変うれしかったですがそれ以降動きは全くありません。実験的な取り組みとして休日に臨時列車として走らせてみることを提案したいです。「JRおでかけパス」があったころは、新幹線で京阪神に乗りいれて乗り換えをしていました。e5489サービスで復活してほしいです。
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