鉄道に関する記事を多く配信している「DIAMOND onine」の記事で、私の考えと違う記事が掲載されていましたので紹介します。なお、私は「DIAMOND onine」の記事はとても参考になるのでよく見させてもらっていますが、ここだけは納得できなかったので取り上げました。
鉄道オタクはいらない?鉄道会社が「本当にほしい人材」の条件 | 親と子のための業界・企業研究2025 | ダイヤモンド・オンライン
ダイヤモンドオンラインホームページより
記事の内容
まず最初に、交通系ICカードの存在感が薄れつつあることを説明し、鉄道コンサルタントの至道薫氏の意見として「今後、鉄道業界が成長するかぎはデジタル分野だ」と主張しています。
次に、日本が鉄道が鉄道に対して依存していることを挙げ、現在の流れとして「定期券というストックビジネスから、観光利用というフロービジネスに移行している」と展開しています。そして定期客からの収入が7割に達していることを示し観光客などの定期外利用者の積極的な取り込みが必要であると述べています。
Suica等のICカードの決済機能から認証機能への注目の必要性を2024年の能登半島地震を例に挙げ述べています。顧客データの瞬時取得や、駅設備に依存しないシステム構築などのメリットを説いています。
そして、鉄道会社の採用と教育について述べ学生が新卒採用において重要視する点が将来性や安定性であると説明しています。JR東日本を例として挙げて現場職採用者にはキャリアパスは用意されていないと述べています。
最後に、「鉄道事業で大事なのはマニアックな知識ではない」として次のように主張しています。
旧態依然とした企業文化から脱却しようとする鉄道会社も増えてきた。その中で求められる人材像は、鉄道業界に対する固定概念を打ち破り、新しい価値を創造できる人物だ。古き良き鉄道に思いを馳せるノスタルジーや、マニアックな知識を求める「鉄道オタク」的な視点ではなく、鉄道というリアルな信頼を背景に、地域活性化や社会課題の解決のための手段として捉える視野が重視されている。
ダイヤモンドオンラインホームページより
私の意見
引用させてもらった部分以外については、なるほどと思います。しかし、最後の「鉄道オタク」が不要という意見については、賛成しかねます。
確かに、一般に「鉄道オタク」と言われる人たちは、世間では「人間付き合いの下手な人」「どうでもいいことにこだわる人」「社会に迷惑をかける人」というイメージが定着しているところがあります。確かに、そのような人たち(私のように時刻表が大好きでいろいろ妄想するような人も含まれると思います。)もいるでしょうが、逆にそれは長所でも在りうると思います。
例えば、ダイヤグラムを組む人や異常時に列車をどう動かすか検討する人、そして、現場の運転手・車掌・駅員については、高い専門性と強い信念がなければできません。最近では、ワンマン列車が増え、本来は技術的な面も必要とする(現に国鉄時代は、車掌・駅員からではなく、車両工場・保安要員)運転手でも接客面の技術について必要とされています。また、ダイヤについても将来的にはAIが担うものとなるかもしれません。
しかし、「鉄道オタク」と呼ばれる人たちはクセが強いですが研究心を強く持っています。実際、問題視される「撮り鉄」と呼ばれ人たちであれば、時刻表と情報ネットワークを駆使して目的の写真が撮れるように事前に時間をかけて研究しています。こういった面は、他の分野の「鉄道オタク」にもあり、私のように鉄道ファンならこういう列車が需要があり、一般の人ならこちらの列車がいいと深く追求する人もいます。
結局のところ、大事なのは「人の得意分野をどう使うか」であって「人間性」ではないと思います。例えば、観光客を誘致するのであれば、「どのような層を呼ぶにはどうすればいいか」といったような点では幅広い視点が求められいわゆる総合職の人たちだけでは見えていない面もあるでしょう。そういった場に「鉄道オタク」と呼ばれる人たちの意見というのは生かされることも多いでしょう。そういう意味で、「いすみ鉄道」の鳥塚 亮社長は、自費での運転手募集を行って今も続いているのだと思います。接客は、所詮技術であって努力すればだれでもレベルはともかくマスターすることができます。
これから先の人材不足を考えれば、いろいろな種類の人を採用することが必要でいくつかの業務を掛け持ちすることになるでしょう。技術職とて計画立案も任されるようになるはずです。むしろそうならないと会社が持ちません。自治体でも公共交通に携わる人間に知識がなく、鉄道会社とうまくかみ合わないことが多いようです。そのためには「鉄道オタク」は採用しないではなく、「鉄道オタク」も採用するといった方針が必要だと考えています。
カテゴリー的には、岡山地区の車両の話ですが、個人的な意見として述べていますのでよろしければご覧ください。
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