岡山・山陰エリアを大都市近郊区間に入れるのはどうか #ICOCA利用と切符の差額の解消

鳥取県での全路線バスでICOCA対応へ 運賃

 現在、岡山・山陰地区ではICOCA利用と切符利用では最大330円の運賃に差が生じています。この状況を解消するために大都市近郊区間を拡大するのはどうか考えてみます。

やくも利用時における運賃の差

 岡山から総社以北を途中下車なしに利用する際に、紙の乗車券を購入する場合は乗車経路により計算し、ICOCAでは最短距離で計算することになっています。伯備線の岡山ー総社間の営業キロは26.6㎞であるのに対し、吉備線の換算キロは22.4㎞であるためICOCA利用の場合は4.2㎞短くなります。やくも停車駅では次の区間で運賃が変わります。なお、岡山ー出雲市間は、特急停車駅に限り200㎞を超えてもICOCA利用ができるため、やくも号をICOCA+特急券で乗車可能です。

乗車駅降車駅伯備線経由営業キロ吉備線経由営業キロ伯備線経由運賃吉備線経由運賃差額
岡山総社26.622.451042090
岡山新見80.376.115201340180
岡山出雲市220.7216.540703740330

 普通列車についても、伯備線(総社ー新見間の各駅、生山、根雨)・山陰本線(伯耆大山ー玉造温泉間、宍道)についてはICOCA利用可です。

トクトク切符はあるのか

 本日(1月12日)時点でJR西日本のホームページで確認できたのものを紹介します。利用については、3月31日までのようです。4月1日以降は不明となっています。

  • 【e5489専用】WEB早特14(岡山ー出雲市)   5610円(通常期 7020円)
  • 【e5489専用】WEB早特7(岡山ー出雲市)    6310円(通常期 7020円)

 これらの切符は、オンライン購入限定、切符受け取り前でも変更不可、指定した列車以外は特急券部分は無効となっています。繁忙期でも利用できるのがありがたいですが、予約が取りにくいでしょうね。松江・米子から、大阪方面および広島方面も設定されています。

大都市近郊区間とは

 大都市近郊区間とは、東京・大阪・福岡・新潟・仙台の近郊区間に設置されている区間であり、以下のルールが適用される区間です。(東京と大阪については、個人的には名称を変更したほうがいいと思いますが)

  • 途中下車をしない限り運賃の計算は、乗車経路に関わらず最も安くなる経路で計算できる。途中下車した場合は、購入した切符との差額があった場合の返金はない。不足分については、差額を支払う必要がある。なお、料金(特急券・グリーン券等)については、実際に乗車した区間に応じて支払う。
  • 始発駅と終着駅の距離が100㎞を超える場合でも途中下車できない。
  • 始発駅と終着駅の距離が100㎞を超える場合でも有効期限が1日になる。

現在のJR西日本の大都市近郊区間は、次の区間になります。

JR西日本公式ホームページより

大都市近郊区間のメリット・デメリット

メリット

  • 運賃の計算が、簡単になる。

 利用者からすれば、インターネット・券売機での操作が簡単になるためみどりの窓口に並ぶ必要が減るため、待つ時間が短くなるでしょう。また、時間に縛られず駅ではなくどこでも切符が購入できるので利便性の向上が期待できます。一方のJRは、ここ最近国鉄時代に作られた複雑な料金体制の見直し(乗継割引の廃止、往復乗車券の廃止、連続乗車券の廃止等)を進め、切符の購入のハードルを下げる方向に動いています。インターネット・券売機の利用者の割合が増え、その結果としてみどりの窓口への職員の配置を減らすことで限られた人材活用につながるものと思います。

  • ICカードと乗車券との運賃の統一

 最大330円とはいえ、みどりの窓口・券売機で購入した乗車券のほうが高いと知った際にトラブルにつながり可能性があります。特に窓口で購入した場合、長い時間待った上に高い料金を払ったことでより不満を持ち、避けられるクレームを呼び込むことなるでしょう。そして、駅員・車掌・運転手といった現場で働く人にとってはストレスに繋がることにより、退職や休職が増え新しい人材も集まらなくなり、結果として職場が回らなくなりサービス低下につながるでしょう。そういう観点からも料金の統一はプラスに働くのではないでしょうか。

デメリット

・途中下車不可になり、有効期間が1日になる。

 鉄道が好きな人なら、真っ先に思い浮かぶデメリットだと思います。回避するとすれば、西明石ー新大阪間を新幹線経由を使う方法でしょうか。普通に利用する人だと大きな問題ではないでしょう。

  • 大回り乗車によってJRの収入が減少する。

 一番大きな問題だと思います。中国山地のローカル線が大都市近郊区間となれば、これらの路線は、大減収となるでしょう。JR東日本がSuicaエリアを大都市近郊区間として、JR西日本が最短経路での運賃計算の適用の範囲をICOCAでの乗車に限っている最大の理由だと思います。対策としては、ICOCAの利用範囲のみとすることでしょうか。

まとめ

 デメリットはありますが、私の考えとしては岡山・山陰地区を大都市近郊区間に含めることは賛成です。将来を考えた場合、複雑な料金体系は解消していくことが省力化につながり労働力不足に対する方法ではないでしょうか。最終的には、飛行機・高速バスのように出発先と到着先で運賃が決まるシステムに向かって行ったらと思います。昨年発生した、貨物列車を発端にして明らかになった車軸の問題や函館本線での脱線事故などは、線路の保線・車両の検査部門の人員の不足による部分もあるでしょう。JRですら厳しいということは、中小私鉄・第三セクターの現状はもっと悲惨だと思います。鉄道にとって一番大事なことは安全に運ぶことです。それに繋がるのであれば、利用者側としても多少の負担は必要だと思います。

令和7年1月17日 タイトルを大都市近郊区間に修正しました。

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