1月29日(水)第4回芸備線再構築協議会幹事会の開催 #将来の交通のあり方は

芸備線キハ120系 in 備後落合 芸備線

 国土交通局中国運輸局は、明日(1月29日)に第4回芸備線再構築協議会幹事会を開くと1月22日に発表しました。1月に沿線住民へのアンケートを行う前の開催であり大きな進展はないと思いますが、どのような話がでるか見守りたいです。

第4回芸備線再構築協議会幹事会の開催について

国土交通省中国運輸局ホームページより

芸備線について

JR芸備線は、岡山県備中神代駅から広島県を結ぶ路線です。(列車運行上は、備中神代発着の列車はなくすべて伯備線新見駅発着となります。なお、途中の布原駅は、伯備線の列車は通過し芸備線の列車のみが停車します。)昨年の12月13日には、布原駅で安全側線に乗り上げる事故がありました。写真は、下関総合車両所広島支所配置のキハ120系です。備後落合ー三次間では、単行で運転し三次ー広島間では2両編成(この区間は基本的にはキハ40系)で運転します。路線名は、芸国と吉国(中国もしくは後国の説もあります)に由来します。

芸備線の誕生

 芸備線は、1913年(大正2年)の芸備鉄道による広島駅ー三次駅(現在の西三好駅)間の着工から始まりました。1915年(大正4年)4月28日には、東広島駅(現在の東広島市にある新幹線の駅とは違います。1937年昭和12年に廃止)ー志和地駅間が開業します。6月1日の志和地駅ー三次間の営業開始により三次まで開通しました。

 ついで1922年(大正11年)6月7日に塩町駅(現在の神杉駅)まで延伸します。さらに1924年(大正12年)塩町駅ー備後庄原駅が開業します。2年後の1926年(大正15年)1月21日には東広島駅での旅客運輸が廃止となります。

 一方1930年(昭和7年)2月10日国有鉄道の三神線である備中神代駅 ー矢神駅間が開業し、同年11月25日には矢神駅ー東城駅間まで延伸します。

また、1933年(昭和8年)芸備鉄道の備後十日市駅(現在の三次駅)ー備後庄原駅間が国有化され庄原線と名称を変更。翌年1934年(昭和9年)3月15日備後庄原駅ー備後西城駅間まで延伸、1935年(昭和10年)6月15日には三神線の東城駅 – 小奴可駅間開業します。12月20日に備後西城駅ー備後落合駅間、ついで1936年10月10日小奴可駅ー備後落合駅の開業し三神線を編入しました。これをもって、芸備線が完成します。

 翌年の1937年(昭和12年)7月1日に、芸備鉄道(備後十日市駅ー広島駅)を国有化し名称が芸備線となります。

芸備線の現状

 現在の芸備線は、次の通りになっています。

  • 営業区間 備中神代駅ー広島駅 159.4キロメートルの地方交通線 駅数
  • 全線非電化単線
  • 駅数 44
  • 最高速度 時速85㎞
  • 輸送密度 1,194(2023年度)
  • ICOCA対応区間 狩留家駅ー広島駅
  • 使用車両 キハ40系・47系(三次ー広島間、ただし臨時列車として備後落合まで運転する場合あり)、キハ120系(全線、備中神代ー備後落合は後藤総合車両所所属車両・備後落合ー広島間は下関総合車両所広島支所所属車両)

芸備線の推移

  • 列車運転本数(下り) ()内は優等列車

1964年1975年1988年2000年2024年
新見ー
東城
9(1)10(3)9(0)7(0)6(0)
東城-
備後落合
9(1)10(3)8(0)5(0)3(0)
備後落合ー
備後西条
13(4)13(5)10(1)10(1)5(0)
備後西条ー
備後庄原
13(4)13(5)11(1)11(1)5(0)
備後庄原ー
三次
13(4)13(5)11(2)11(2)7(0)
三次ー
志和口
14(4)16(5)18(4)19(2)17(0)
志和口ー
狩留家
12(1)13(2)20(4)20(4)18(0)
狩留家ー
下深川
12(1)15(0)21(0)26(0)28(0)
下深川ー
広島
11(0)11(0)29(4)37(0)46(0)
  • 輸送密度
1987年1990年2019年2023年
備中神代ー東城8188
備中神代ー備後庄原571387
東城ー備後落合1120
備後落合ー備後庄原6286
備後落合ー三次215
備後庄原ー三次381373
三次ー狩留家713
三次ー下深川998
狩留家ー広島7987
下深川ー広島8,676
全体2.5611,3231,194
  • 主要駅乗車人数
2000年2010年2019年
新見1,054929733
備中神代39277
東城681111
備後西条9836
備後庄原210128127
三次794653433
2000年2010年2019年
志和口670518243
狩留家226220203
下深川1,8031,7681,479
安芸矢口1,9891,9251,902
広島71,44469,32777,042

芸備線存廃を巡る動き

  • 2021年6月8日 芸備線の存廃を視野に入れた地域交通のあり方を協議することを沿線自治体に申し入れを行う。以後第2回を10月8日、第3回を2022年2月7日、第4回を5月11日、第5回を11月2日、第6回を2023年7月2020に開いている。

芸備線沿線の地域公共交通計画に関する申入れについて(JR西日本ホームペ

「芸備線庄原市・新見市エリアの利用促進等に関する検討会議」(庄原市ホームページ)

  • 2021年8月5日 第1回芸備線検討会議が開催された。(岡山県・広島県・新見市・庄原市・JR西日本)

ご説明資料(岡山県ホームページ)

  • 2022年4月11日 赤字ローカル線の営業係数を公表

ローカル線に関する課題認識と情報開示について (JR西日本ホームページ)

  • 第4回の会合(2022年5月11日)でJR側から、これまでの取り組みの成果があがっていないため特定の前提を置かずに将来の地域交通のあり方の議協議をしたいと発言
  • 2023年2から国の仲介によるJR西日本から全社および芸備線の経営状況を確認するヒアリングを始めた
  • 2023年10月3日、JR西日本は、JR西日本は地域公共交通の活性化及び再生に関する法律に基づく再構築協議会の設置し、3年以内をめどに存廃の方針を国が示すことになる。
  • 2024年5月16日第1回会合が開催、これまでの会議の参加者に加え広島市・三次市も参加
  • 2024年10月16日に第2回会合から不参加を表明していた安芸高田市も参加

考察

 今回廃線の対象となっているのは、岡山県の備中神代駅から広島県の庄原市の区間です。この区間は、JR西日本の中でも輸送密度がもっとも低くなっている区間です。関係自治体は、第3セクターへの転換・上下分離もしくはバス転換については考えていない姿勢をとっています。対して、JR西日本は廃線もしくはバス転換を希望しています。再構築協議会の場に廃線区間からの流動があるから参加してほしいと言われた広島市・安芸高田市・三次市は、過去に市内を走る路線(可部線:広島市、三江線:安芸高田市・三次市)の廃線を経験した自治体であり、存続という意見を出すことは考えにくいです。

 また、JR西日本も芸備線としての繋がりよりも地元の学生に対してのダイヤにし、少ない本数でも利便性を極力落とさないようにしてきました。2000年3月時点では、新見からの5本すべて広島からの5本のうち4分を全線の通せるダイヤを組んでいましたが、今では昼の1往復のみにして学生の登下校の時間に合わせた時刻にしています。

 廃止区間の中でも、東条以西はバスのほうが利便性が高い地域です。特に東城ー備後庄原間は、古い路線のため線形が悪いことに加え、保線費用の節約のため時速25㎞の速度制限が多く列車では、1時間30分程度を要するのに比べバスは40分弱で行くことができます。本数についても6往復と列車の2倍あり芸備線はかなり苦しい立場です。

 国もJR西日本も今後存廃論議が続く中で一番輸送密度の低い路線を残すと、他の路線に対して廃止するという判断をすることは難しくなることは容易に想像できます。また、ここで芸備線が廃止になれば自治体側も他の線区での交渉が難しくなることもまた事実です。長い歴史をもつ芸備線ですが、ここは、早めの決断をしてJR西日本からより多くのものを引き出すのがもっともよい選択だと思います。廃止対象区間の中では、備後西条駅利用者はそれなりの人数がいますので東城ー備後庄原間および備後西条ー備後庄原間は、通常のバス路線とし残りの区間はオンデマンドサービスに切り替えがよいかと考えます。

まとめ

 芸備線の備中神代ー備後庄原間は、バス転換が最善の方法だと思います。地域の流動にあわせた使いやすい形での運用を考え決めるのがよいでしょう。また、バスドライバー不足が叫ばれている中において早めの選択をすることがもっともよいと考えます。もちろん、自治体も費用を負担して鉄道を残すというのであればその選択も十分ありでしょう。

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