JR可部線の混雑緩和はできるのか #広島県でもっとも混雑する路線

広島・山口地区

 JR可部線は、2021年度の混雑率が132%で全国ワースト4位になり話題になりました。翌年度には122%と若干解消していますが以前高い状況にあります。105系の時代のように4扉のロングシート車の導入を求める声もあります。実際に可能なのでしょうか。

可部線の輸送密度

 輸送密度については、JR西日本が公開していますので一番古い1987年度(昭和62年度)、227系(Red Wing)投入前の2013年度(平成25年度)、コロナ前の2018年度(平成30年度)、混雑率132%を記録した2021年度および2023年度の数値を見てみたいと思います。なお、1987年度と2013年度は横川~可部間の数値となります。

1987年度2013年度2018年度2021年度2023年度
輸送密度11,36119,01517,86814,56216,630

 2021年度は、輸送密度は14,562で2013年度以降では一番少なくなっています。その状況下で混雑率が高くなったのは、通勤時間帯への利用者の集中によるものでしょう。その後の2023年度は1割以上昇していますが混雑率は下がっているようです。今は、広島電鉄の宮島線の方が問題化しているため表に出てこないためかもしれませんが・・・。どうやら輸送密度だけが問題ではないようです。

駅別利用者数

 2001年度(平成13年度)以降は、広島市のホームページで2022年度(令和4年度)まで公開されています。2013年度、2018年度そして2021年度の数値を見てみます。本数が変わる緑井駅を境として表は分けています。

201320182021
あき亀山598620
河戸
帆待川
1,170978
可部3,5592,2821,727
中島546867789
上八木540557429
梅林1,1731,3061,013
七軒茶屋760891814
201320182021
緑井2,5382,7422,223
大町5,7554,3813,422
古市橋1,7401,8531,676
下祇園5,0505,3994,755
安芸長束2,6373,0402,538
三滝513550422
横川18,24916,86713,586

 この数値を見ても、2021年度が特別多いわけではないようです。可部線沿線は開発が進んでおり人口が増加している地域ですので、通勤時間帯の利用者の増加と考えるのが妥当でしょう。また、今後も増加傾向であるとみられています。

輸送能力

 可部線は、平日の一部の列車を除き227系4両での運行となっています。定員は2両編成2本の場合259名ですので1列車あたり518名となります。広島7時台の到着列車が、6本ありますので3,108人が輸送能力となります。この数字を挙げるためには次の方法が考えられます。

  • 列車の増発
  • 車両の増結
  • 中間車を増やして列車1本あたりの輸送能力を上げる
  • ロングシートにする

 この中で、列車の増発と車両の増結は物理的に不可能ですので、中間車を増やすか、ロングシート化が考えられる方法でしょう。中間車を増やすのであれば2両編成に2両を増やして4両にするか3両編成に1両増やして4両にするかになるでしょう。車両数が増えますが山口地区の115系の置き換えがあるので、一部の運用を受け持つか転属すれば余剰車は発生しないでしょう。

 あるいは、岡山地区に転属させるのもありだと思います。一般の利用者から見れば座席数の多い車両だと思うくらいで鉄道ファン以外は受け入れるでしょう。

計算上の輸送能力

 実際には、どれくらい車両数が必要なのか考えてみます。広島着が7時台と8時台の列車が11本あります。その時間帯に広島駅を出る列車は、9本ありますので最低でも20本が必要でしょう。予備も含めれば22本となります。モハ226形の定員は149名ですので中間車を2両にすれば1編成あたりの定員は557名となり39名増えます6本で234人ですので結構な人数となるので検討の余地はあるでしょう。

E131系日光線

 

 ロングシート化した場合については、仙石線用のE131系が4両シートトイレありの車両ですのでこちらの数字を参考にします。こちらは596人です。227系2両編成の場合は、中間車がありませんので39人とはならないでしょう。この場合でも、中間車の増備は必要でしょう。ただし、ロングシート改造する場合は改造期間中の運用を考える必要があります。2025年度のダイヤ改正で広島支社は増便を打ち出していますので、福山地区と山口地区の運用減での対応となるでしょう。

実際に可能なのは

 列車を改造するために運用から外すのは難しいと思われますので、中間車の増結が現実的な方法でしょう。幸い、227系自体は製造が続いているので追加で製作することは可能でしょう。国鉄時代の車両を使用している路線はまだありますので、余剰の車両を他の地区に転属させることもできそうです。これでも対応できなければ、加えてロングシート化・新型のロングシート車両の製作ということになるのではないかと思います。今のうちであれば、余剰の車両を国鉄型車両の置き換えに回すことも可能です。

まとめ

 可部線の混雑緩和のためには、取りあえずは227系の中間車の増備が考えられます。それでもだめであれば中間車を増備してロングシート化するか、新しい車両の製作を検討することになると思います。

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